カイロプラクティックについて

カイロプラクティックとは、1895年にアメリカのダニエル・デヴィッド・パーマによって創始された脊椎や骨盤などの骨格のズレやユガミをアジャスト(矯正)する療法です。より詳しく言えば、構造(脊椎と他の関節、筋肉など)と機能(神経系や血管系)の相関関係を重視する医学であり、痛みやシビレ、こりなどの原因を筋肉や骨格の異常と捉え、徒手によってそれらを正常化することを目的としています。
 

いまの日本では鍼灸とともに代替医療とされていますが、アメリカ、カナダ、ヨーロッパをはじめとする世界40ヶ国ですでに医療として法的に認知されている歴とした医療であり、保健機関(WHO)が認める治療法でもあるのです。
 

ろくでもないあやしげな何かではなく、まして怖く危険なものではさらさらなく、歴とした医学に基づく治療法ですから、施術者には高度な専門知識が必要とされます。当院では、世界のカイロプラクティック業界が定める教育水準「国際基準」の大学教育を修了した者(Doctor of Chiropractic)と、そのもとで教育研修を受けた者が施術を行っていますので、安心して治療を受けていただけます。

カイロプラクティックの特徴

3つに要約

❶骨格や筋肉(構造)の異常を見つけ、それを手技によって矯正する

❷神経や血管の流れ(機能)が正常化する

❸人間本来がもっている自然治癒力が活性化することで健康が維持される

自然療法

医学に基づく徒手療法であると同時に、自然療法でもあります

 ・身体を部分ではなく、総合的にみて治療する
 ・生まれ持った自然治癒力を最大限に活用する
 ・心身のストレスをリラックス状態に導く
 ・手による脊椎・骨盤・四肢の治療が主体
 ・病気治療はもとより予防医学に貢献する 

 

代表的な適応症

 頭のてっぺんから足の指先にいたるまでのあらゆる痛みやシビレ、動作制限が適応となります。カイロでは、それらの原因をおおきく①骨格のズレやゆがみによる神経圧迫、②筋肉の炎症、③それらがあわさったものにわけ、❶骨格の矯正と❷理学療法(主に超音波治療)により治癒させます。
 また文字通り①骨格のズレやゆがみを問題とし矯正しますので、主に骨格に規定されている姿勢も適応となり、最も重視しています。

頭・顎・頸

 
 ・骨格のズレ
 長時間のPC作業や心労などによる眼精疲労、かみしめを端緒として頭痛、吐き気、首こり、首がまわらない、上または下を向けないといった症状が生じます。
 筋緊張性頭痛寝違いストレートネック顎関節症はその典型で、頸椎をはじめ、頭蓋骨や顎関節のズレと周辺の筋緊張が同時的に起きていることがほとんどです。ヘルニア頸肩腕症候群胸郭出口部症候群などは、神経圧迫が強いために、肩背部や上腕、前腕、手首、手指に至るまで痛みやだるさ、シビレなどが重く、時に夜間痛も伴い、症状は激しくなります。
 いずれにしても骨格矯正と理学療法による治療が基本となります。
 寝違いは一過性のものであり、1回(多くて3回)で治りますが、日々の生活に由来する筋緊張性頭痛ストレートネック顎関節症は、個人差がかなりあります。その点では、画像でも確認できる本格的なヘルニアは難しい部類になりますが、頸肩腕症候群胸郭出口部症候群は激しい症状に比して治りは早く7〜10回で完治することが多く、しっかり治せば再発もほとんどなく予後も良好です。
 なお、偏頭痛は骨格などの外の状態にとどまらず、広く体調全般に関わる内に問題があることが多く、その場合は病状として重いため、鍼灸併用も視野にはいります(実際にそうしている方が多いです)。
 
 ・外傷
 交通事故によるムチウチも多いもののひとつです。受傷から治療まで早ければ早いほどよいです。頸椎がズレている場合が多いため、それを戻すことが第一となります。周辺の筋肉の炎症をとるだけの治療でも、自然治癒力により頸椎のズレは戻るはずですが、仮に戻りきらなかった場合には数ヶ月から数十年の後に後遺症として再発することになります。

 

肩関節

 
 ・関節の亜脱臼と周辺の筋肉の炎症
 多くの場合は動作の時に痛みを伴い、時に可動域の制限がでて日常生活に支障があるものの、まったく動かないほどの重症ではありません。使いすぎや一方を下にして寝るなど関節に負荷がかかることで痛めることがほとんどのようです。骨格の軽微なズレ(亜脱臼)であれば、もどすことで即座に治ります。周辺の筋肉を痛めている場合は、超音波治療も加えます。野球肩はこれに該当します。

 ・関節全体の炎症
 肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)と言われるもので、まるで凍りついたかのように関節全体がかたまり、かなりの動作制限が生じます。また、動かそうとすると激痛が走り、時に寝ている時にうずいて起きてしまうこと(夜間痛)もあります。夜間痛がひどい場合は、長期の寝不足や心労などなにかしらの消耗がたたっている可能性があり、体調全般の問題として捉えて鍼灸とあわせた治療がよりよい場合もあります。いずれにしても、日常的に起こる肩関節の痛みや可動域制限よりも重症です。

 ・周辺の筋肉の過緊張や姿勢全体の崩れ
 いわゆる巻き肩は、肩関節周辺の筋肉の過緊張、特に前胸部に引っ張られて起きています。手を背中で組めない(一方の手を下から、もう一方を上から)*ことも同様です。頸の問題であるストレートネックや肩背に関係する猫背(円背)と併発していることが多く、その場合は姿勢全体の崩れの一部として姿勢を矯正していきます。PCディスプレイ、スマホの見過ぎなどが原因しますが、重い鞄の肩掛けは後天的な側彎を誘発するため注意が必要です。

*以前、70代の女性がどうしても手を背中で組んでみたいという要望で来院されたことがありました。
他院にて年齢相応に生活に支障のない範囲で動くのだから気にすることはないし、年だから無理だと断れたとのことでした。確かに痛みやしびれなどがなければ、生活に支障をきたすような切迫した問題ではなく、治療対象とならないかもしれません。
私(吉岡)は長らく鍼灸による治療をしてきたためか、そうは思わず、可能なら治療対象とすべきと判断しました。なによりも、これまでできた試しはなく、家族から小ばかにされてきた経緯があり、なんとかなるのならお願いしたいという切実なものでしたから。実際、数回の治療で人生で初めて背中で手を組むことができて、ご本人はたいそう喜んでおられました。
物理的な身体の症状とそれにさいなまされる心だけでなく、身体のなんらかの問題に傷つく心の在り様も大切にしたいのです。また、痛苦を伴わない姿勢の崩れや動作(可動域)制限も全体としてはある特定の部位に影響があったり、上記のように心におよぶ場合もあるため、私は主訴以外の全体としてのバランスも重視する傾向にあります。
なので、「こんなこと」と思わず、「気になること」、「こうできたら」といったことは、ひとまずなんでも相談していただきたいと思います。
この点は私の大切にしている部分のひとつで、「治療範囲」をどう考えるかということになるでしょう。

  

 
 ・関節の亜脱臼と周辺の筋肉の炎症
 肩関節と同様に使いすぎや重い物を無理に持ったなど、関節に負荷がかかることで痛めることが多いです。テニス肘ゴルフ肘肘部管症候群などと呼ばれるものは、関節のズレだけでなく、周辺の筋肉や腱、腱鞘も痛んでいます。

 

手首・手指

 
 ・関節の亜脱臼と周辺の筋肉の炎症
 肩や肘の関節と同様に使いすぎや重い物を無理に持ったなど、関節に負荷がかかることで痛めることが多いです。いわゆる突き指もそれに類するもので、関節の矯正により即時的に治りやすいです。ばね指手根管症候群などの腱鞘炎は、関節のズレだけでなく、周辺の筋肉や腱、腱鞘を痛めているため、矯正だけでなく、超音波治療も加えます(鍼灸も適応症で、患部ではなく全身治療と背中への灸で対応します)。なお、自己免疫疾患であるリウマチによる関節炎は、鍼灸の適応となります。


肩背・胸脇

 
 ・いわゆる肩こり
 その部位の使いすぎや急な負荷などではなく、長時間のPC作業による眼精疲労や心労などのストレスからいわゆる血行障害を起こします。また、関係の深い頸椎のズレや周辺の筋肉の緊張に起因していることがほとんどです。
 
 ・胸の両脇や脇の痛み
 胸郭は、胸椎と肋骨、胸骨で形成されるため、肩背の問題は前側や脇にも影響がおよびます。痛む部位もさることながら、おおもとである胸椎をはじめ、肋骨の状態も同時に検査し、胸郭全体の調整をすることが多いです。

 ・周辺の筋肉の過緊張や姿勢全体の崩れ
 いわゆる猫背(円背)は、肩背をはじめ、頸(ストレートネック)や肩関節(巻き肩)周辺の筋肉の過緊張によって起きていることが多いです。慢性化すると骨格そのものがその状態で固定化し、ストレッチや超音波治療、鍼灸などで筋弛緩しても、簡単には戻らなくなります(カイロプラクティックがより適している状態と言えます)。あるいは、骨盤(前傾)や腰(反り腰)との関係でそうなる場合もあります。年齢や体型、仕事や趣味などから原因やそうなりやすい状況を把握し、状態に応じて骨格の矯正と筋の弛緩をしていきます。 

 

腰・股・骨盤

 
 ・準備中

 

 
 ・関節周辺の筋肉の緊張
 膝関節そのものの問題ではなく、周辺の筋緊張により動きの中で膝に痛みがでることが多く、この場合は筋緊張をとるだけで解消します。同時に正座ができないことも多々あり、それらは骨盤のねじれや腰椎のズレに起因します。いわゆる「お姉さん座り」は骨盤や腰椎をねじるため御法度です。その先の胸椎、頸椎、胸郭にまで影響を与え、くせになっていると姿勢がおおきく崩れて安定するようになり(後天的な側彎に移行)、各所で問題の火種となります。 
 
 ・関節のズレ
 よく軟骨がすりへっているなどと言われるようですが、多くは関節のズレに起因しています。また、周辺の筋緊張とあわさっていることが少なくないため、骨盤や腰椎の検査も同時にします。慢性化していると筋肉や靱帯の炎症も併発し、治療には一定の回数を要するようになります。

 ・関節周辺の軟部組織の炎症
 靱帯や筋肉に炎症がある場合は、触診でもわかりますが、関節周辺の筋緊張と関節の矯正後に痛みが残ります。超音波治療により炎症をとっていきます。

 ・O脚とX脚
 膝関節の変位は、腰椎や骨盤のねじれに伴う股関節の変位に起因するため、腰まわりからの矯正が必要となります。小学生頃までは関節がやわらかいため、治りやすいです。側彎と同様に大人になってからでもある程度までは治していけますが、全身の関節の硬さに影響されるため、回数を要します。

 

足首・足指

 
 ・関節の亜脱臼
 肩や肘・手首・手の関節と同様の使いすぎのほか、歩行や走行時の予定外の衝撃(段差や石など)、履き物のサイズが合っていない(大きいと中で遊び、小さいと関節が押しつけられる)など、関節に負荷がかかることで痛めることが多いです。いわゆる突き指に類する状態で、関節の矯正により即時的に治りやすいです。

 ・関節の亜脱臼と周辺の軟部組織の炎症
 主に足首をひねり、関節が亜脱臼し、腱や靱帯に炎症が起きる捻挫です。関節の矯正と理学療法により対応します。ほとんど知られていませんが、捻挫や打撲など軟部組織の炎症(内出血)は鍼灸の適応学生時代のレポートとなり、受傷後の治療が早ければ早いほど翌日の独特の疼痛(鋭い痛み)が出なくなります。

 

◆注意事項◆ 

骨粗鬆症の問題(診察時に要申告)

 
 軽度であれば問題ありませんが、圧迫骨折を何度も繰り返している場合は矯正ベッドでの施術を避け、徒手のみでの矯正と超音波治療で対応することがあります。また、状態によっては鍼灸による治療を提案します。

特定の季節や天候、時間帯にのみ症状が出る場合

 
 春になると、冬になると、あるいは雨や寒い日、台風が近づくと、はたまた朝、夕方、寝入りばな、寝てから数時間後など特定の季節や天候、時間帯に症状が悪化することは珍しくはありませんが、その特定の状況下にのみ症状が出るということも少なくはありません。こうした特異的な症状の増減を単に物理的な外の問題として対応してもうまくいかない場合があります。東洋医学では同じ痛みであっても病態が異なると捉え、治療も変えるため、状態によっては鍼灸に変更する、またはカイロと鍼灸による総合治療がよりよいと判断する場合があります。

 

当院の治療について

なによりも「痛み」や「シビレ」を速やかかつ適切にとることを使命としています。
また同時に全身のバランスを重視し、ふさわしい姿勢よりよい動作を回復・維持することも大切にしています。

治療の流れ

問診ー症状についての詳細を知る


 ・経緯:どのような状況で、それまでの生活

 ・経過:症状の増減などの変化

 ・現状:症状の場所と範囲、痛みやシビレの種類、時間帯による変化、動作の制限の有無

*MRIやレントゲンなどの画像は、検査と施術の補助情報となります。整形外科で撮影された方は、スマホ画像でもかまいませんので、可能な限り持参ください。

検査ー現状の把握と診断

触診

・骨格の異常

・関節、筋肉、靭帯の状態

施術ー診断に基づく治療

アジャスト
主にトムソンテーブル(矯正ベッド)にて

 ・骨格や関節の矯正
 ・筋肉の弛緩

*トムソンテーブルは、トムソンテクニック(ドロップ)のための矯正ベッドで、矯正時にテーブルが落ちます。その際にドンとやや大きめの音がします。もちろん痛くはありません。また、次の矯正の準備のために空気圧を使ってテーブルをもとの位置にあげるため、下から突き上げるような具合になります。これも基本的には痛くありませんが、衝撃があります。
この一連の上下動や音が合わない方、あるいは衝撃で痛みが走る状態の方もおられ、その際は矯正ベッドを使わずにアジャストしていきますので、我慢せずにすぐにお伝えください。

*うつ伏せが苦手だったりできない方も矯正ベッドを使わずにアジャストしていきますので、遠慮なくおっしゃってください。

*代表的な適応症の注意事項に書きましたように、重度の骨粗鬆症の方には矯正ベッドを用いた矯正は避け別の方法で治療していきますので問診時に必ず申告願います。

理学療法
主に超音波治療器による筋肉や靭帯の直接的な治療

 

小児の施術

乳幼児ー触れると泣き出す

「何で泣いているの?」
不安になり判断に迷うことでしょう。そんな時は触れてみてください。触れて泣き出すようであれば、関節の亜脱臼や異常など骨格に問題が生じている可能性がありますので、ご相談ください。

 ・股関節:オムツの交換の時に泣く
 ・肩、肘、手首、手指、足首、足指:撫でたり、抱っこなど、触れると泣く

小学生頃までー不自然な姿勢や動き、本人の申告など

 
 ・X脚:歩行時に足先が内側に入る(内股)、よく転ぶ(特に走ると)
 ・O脚:歩行時に足先が外側に出る(ガニ股)
 ・側弯症:立位姿勢で後姿を観察した時に背骨が歪んでいる

*日常の習慣的な姿勢の悪さに起因する後天性疾患であれば、完全な改善が期待できます。
*先天性であっても成長に合わせて根気強く治療していくことで、骨格の完成をよりよい状態にすることができます。
*もちろん、大人になった後でも、軽減と加齢に伴う悪化の予防は十分にできますので、あきらめずにご相談ください。